この記事は、これからSIerへの就職・転職を考えている人と、今SIerで働いていて「つらい」と感じている人に向けて書いています。SIerが激務になりやすい理由、ホワイトな会社との違い、入社前に確認すべきポイントまで分かります。
結論:SIerが激務なのは「半分本当、半分は誤解」
「SIerだから激務になる」のではなく、どんな会社・案件を選ぶかで働き方は大きく変わります。
私は文系・未経験からSIerに入り、5年間システム開発に関わりました。忙しい時期には深夜2〜3時まで働き、残業が月100時間近くになったこともあります。
ただ、その後に残業時間の実数や働き方を重視して会社を選び直した結果、今は以前とはかなり違う環境で働いています。
この両方を経験して感じたのは、SIerの激務は「業界だから仕方ない」で片付けられるものではない、ということでした。
実際、5年間働いてみると、きつさの原因はよく言われる「炎上案件」だけではありませんでした。むしろ、案件の掛け持ちや人手不足、納期の決まり方、顧客との関係、担当する役割、会社の方針など、いくつもの条件が重なって忙しさが決まります。
そして逆に言えば、激務になりやすい条件が分かれば、会社選びの段階で避けられる部分も少なくありません。
だから「SIerは激務らしいからやめておこう」と、業界そのものを選択肢から外す必要はないと思っています。
大切なのは、SIerという括りだけで判断するのではなく、自分がどんな働き方をしたいのかを考え、その条件に合う会社を選ぶことです。
この記事では、私自身の激務だった5年間の体験をもとに、SIerが忙しくなりやすい理由、ホワイトな会社との違い、入社前に確認したいポイントまで順番に解説します。
一般論:激務なSIerも、ホワイトなSIerもある
SIerに激務な現場があるのは事実です。納期が決まっている中で仕様変更や障害対応が発生し、そこに人手不足や無理なスケジュールが重なると、長時間労働になりやすくなります。
一方で、同じSIerでも、残業が少なく安定して働ける会社や案件は普通にあります。業務量を調整したり、必要に応じて人を増やしたり、無理な納期を避けたりする仕組みがあれば、忙しさはかなり抑えられます。
普段は定時前後で仕事を終え、繁忙期だけ多少残業が増える会社もあれば、リモートワークや有給休暇を活用しながら働ける会社もあります。
さらにややこしいのは、同じ会社の中でも働き方が大きく違うことがある点です。
- 普段は落ち着いているが、特定の案件だけ炎上する
- リリース前など、特定の時期だけ忙しくなる
- 部署や担当する顧客によって残業時間が大きく違う
- 案件に関係なく、組織全体として慢性的に忙しい
この違いはかなり重要です。
たとえば、特定の案件だけが忙しい会社なら、配属や異動によって働き方が変わる可能性があります。反対に、慢性的な人手不足や案件の掛け持ちが当たり前になっている会社では、案件が変わっても忙しさが続くことがあります。
つまり、SIerの働き方を見るときに重要なのは、「SIerという業界が激務か」ではなく、「その会社・組織ではなぜ忙しくなっているのか」を見ることです。
私自身、最初に働いた会社では「特定の炎上案件」よりも、組織として常に仕事が多いことの方が大きな問題でした。次は、そのとき実際にどんな働き方をしていたのかを書いていきます。
体験談:文系未経験からSIerで5年働いた私の場合
私は文系・未経験から新卒でSIerに入り、業務用アプリの開発に5年間携わりました。
最初は開発者として入り、その後は案件の担当者としてPMの役割も担い、設計、顧客との調整、開発メンバーの管理まで幅広く経験しています。
その中には、今振り返っても明らかに激務だった時期がありました。
「炎上案件」よりも、常に仕事が多いことの方がきつかった
私が新卒で配属されたのは、慢性的に人手が足りず、複数の案件を掛け持ちすることも珍しくない組織でした。
振り返ると、忙しさには大きく2つのパターンがありました。
- 案件そのものが炎上して忙しくなる
- 1つひとつの案件は普通でも、複数案件を掛け持ちして忙しくなる
私の場合、特にきつかったのは後者です。
1つの案件に大きな問題がなくても、複数案件の打ち合わせ、設計、問い合わせ対応、顧客との調整、開発メンバーの管理が同時に発生すれば、単純に時間が足りなくなります。
そのため、「炎上案件が終われば落ち着く」という感覚があまりありませんでした。1つの仕事が落ち着いても、別の案件や次の仕事がすでに待っている状態です。
平日は夜10時を過ぎて退社することが多く、忙しい時期には日をまたいで深夜2〜3時まで働くこともありました。残業時間が月100時間近くになった月もあります。
今振り返っても、これは間違いなく「激務」と言っていい働き方だったと思います。
長時間労働以上にきつかった「顧客と社内の板挟み」
ただ、SIerで働いていてきつかったのは、労働時間だけではありませんでした。
もう1つ大きかったのが、顧客と社内の板挟みです。
顧客には、「要望を実現したい」「予算を守りたい」「予定通りリリースしたい」という事情があります。
一方で開発側には、「品質を守りたい」「無理なスケジュールは避けたい」「メンバーに過度な負荷をかけたくない」という事情があります。
厄介なのは、どちらの言い分も、それぞれの立場では正しいことです。
案件の担当者やPMになると、その間に立って着地点を探し続けることになります。
仕様をどこまで受け入れるのか、納期を守れるのか、社内の負荷をどう抑えるのか。答えが1つではない問題を調整し続けるため、単純な長時間労働とは別の疲れがありました。
その経験から、SIerの「激務」は残業時間だけを見ると実態を見誤ると感じています。顧客と社内の間に立つ役割ほど、精神的な負荷も大きくなりやすいからです。
それでも、激務だった5年間を後悔してはいない
忙しい環境ではありましたが、若いうちから設計、顧客折衝、要件整理、プロジェクト管理まで幅広く経験できたため、この5年間そのものを後悔してはいません。
ただし、同じ働き方を誰にでも勧めたいわけでもありません。多少忙しくても成長機会を重視したい人には合う一方で、生活やプライベートを優先したい人には合わないこともあります。大切なのは、その働き方を理解したうえで、自分に合う環境を選ぶことだと思っています。
その後、働き方を重視して会社を選び直した
私自身も5年間働く中で、仕事に求めるものが少しずつ変わりました。
若いうちに多くの経験を積めた一方で、この先も同じ働き方を続けるのは難しいと感じるようになったからです。
そこで転職するときには、仕事内容や年収だけでなく、残業時間の実数、有給休暇の取りやすさ、所定労働時間、リモートワークの可否など、働き方そのものをかなり重視して会社を選びました。
結果として、現在は以前とはかなり違う環境で働いています。
この経験があったからこそ、私は「SIerだから激務になる」のではなく、会社や組織の違いが働き方に大きく影響すると実感しています。
では、激務な会社と比較的働きやすい会社では、具体的に何が違うのか。次からその違いを整理していきます。
なぜ激務なSIerとホワイトなSIerに分かれるのか
同じSIerでも働き方に大きな差が出るのは、忙しさが1つの要因だけで決まるわけではないからです。
人員配置、案件数、納期、顧客との関係、会社の立ち位置、担当する役割、プロジェクトの規模、会社の方針など、複数の条件が重なって労働時間は変わります。
ここでは、激務になりやすい会社と比較的働きやすい会社で何が違うのかに加えて、入社前にその違いをどう確認するかまでセットで整理します。
1. 人手不足と案件の掛け持ち
まずは、人手不足です。
これはSIerに限った話ではなく、どの業界・職種でも起こり得るので、イメージしやすいと思います。人が足りなければ、その分だけ一人あたりの仕事量が増え、残業も増えやすくなります。
SIerの場合は、そこに複数案件の掛け持ちが加わることがあります。
1つひとつの案件が炎上していなくても、担当する案件が増えれば、それぞれの打ち合わせ、問い合わせ、設計、調整業務も積み上がっていきます。
私自身も、特定の案件が炎上していること以上に、複数案件を同時に抱える状態が続くことの方が、慢性的な忙しさにつながっていました。
激務になりやすい組織では、人が足りなくても既存メンバーが仕事を吸収し、その状態が長く続くことがあります。
一方で、比較的働きやすい組織では、一人あたりの担当量を調整したり、必要に応じて人を増やしたり、役割を分担したりすることで、一人に負荷が集中しにくくなっています。
入社前に確認するなら、平均残業時間だけでなく「一人が普段何案件くらい担当するのか」を聞くのがおすすめです。口コミでも、「複数案件」「掛け持ち」「人手不足」といった話が部署や時期をまたいで繰り返し出ていないかを見ると、組織として慢性的に忙しいかを判断しやすくなります。
2. 見積もりと納期に無理がないか
次に大きいのが、見積もりと納期の決め方です。
システム開発では、開発を始める前に必要な工数を見積もり、顧客と納期を決めます。この段階で計画に無理があると、そのしわ寄せは後から現場にやってきます。
たとえば、本来3か月かかる仕事を2か月で終わらせる前提になっていたり、想定より作業が増えているのに納期だけが変わらなかったりすれば、足りない時間を残業で補うことになりやすくなります。
激務になりやすい会社では、無理な計画が立っても、現場が頑張ることで帳尻を合わせる状態が続くことがあります。
一方で、比較的働きやすい会社では、現場の意見を踏まえて見積もりを作り、難しい場合には顧客と納期や対応範囲を調整します。
重要なのは、予定からずれたときに「残業で何とかする」のか、「計画そのものを見直す」のかという違いです。
この部分は求人票だけでは判断しにくいので、面接では「繁忙期はいつ頃で、通常期と比べて残業はどの程度増えますか?」と聞くと実態をつかみやすくなります。口コミを見る場合も、平均残業時間だけではなく、「納期」「炎上」「繁忙期」などの言葉がどの程度繰り返し出ているかを見るのがおすすめです。
3. 仕様変更を現場だけで吸収していないか
SIerの仕事では、開発途中で仕様が変わることも珍しくありません。
顧客から追加の要望が出たり、実際に画面を見てもらった結果として変更が必要になったりすることはあります。仕様変更そのものを完全になくすのは難しいと思います。
働き方に差が出るのは、仕様が変わった後にどう対応するかです。
追加作業が発生したのに、納期も人数も変わらなければ、その分の負荷は現場に乗ります。小さな変更でも、それが何度も積み重なれば大きな残業につながります。
激務になりやすい現場では、顧客からの要望をそのまま受け入れ、増えた作業を既存のスケジュールの中で何とかすることがあります。
一方で、比較的働きやすい現場では、「この変更を入れるなら納期を延ばす」「追加費用が必要になる」「今回は対応範囲から外す」といった調整を行います。
顧客の要望を聞くこと自体が悪いわけではありません。大切なのは、増えた仕事を無条件で現場だけに背負わせない仕組みがあるかです。
入社前に確認するなら、「開発途中で要件変更が発生した場合、納期や費用はどのように調整していますか?」と聞くと分かりやすいです。また、プライム案件比率や顧客との直接取引が多いかも、調整しやすさを考える材料になります。
4. 顧客や元請けとどれくらい調整できる立場か
SIerでは、自社がプロジェクトのどの位置にいるかによっても働き方が変わります。
顧客と直接契約する会社もあれば、元請けSIerから仕事を受ける二次請け・三次請けの会社もあります。
下流になるほど必ず激務になる、という単純な話ではありません。ただ、間に入る会社が増えるほど、自社だけでは納期や仕様を変更しにくくなることがあります。
たとえば「このスケジュールでは厳しい」と現場が感じていても、すでに上位会社と顧客の間で納期が決まっていれば、自社だけで予定を変えるのは難しくなります。
反対に、顧客と直接話せる立場であれば、要件や優先順位、納期について自分たちで調整できる余地が広がります。
そのため、見るべきなのは単純な「元請けか下請けか」だけではなく、自社が顧客や上位会社に対して、どの程度スケジュールや要件を調整できる立場なのかです。
外から確認する場合は、企業サイトや求人票にある「プライム案件比率」「一次請け比率」「要件定義から参画」「顧客との直接取引」といった記載が参考になります。面接では、「顧客と直接やり取りする案件は全体のどのくらいありますか」「要件定義から関われる案件はどの程度ありますか」と聞くと、会社の立ち位置をイメージしやすくなります。
5. 担当する役割によって忙しさは変わる
同じ会社、同じプロジェクトでも、担当する役割によって忙しさはかなり変わります。
特にPMや案件の担当者は、顧客との打ち合わせ、進捗管理、課題管理、品質管理、メンバーのフォローなど、複数の仕事を同時に抱えやすい立場です。
開発そのものが順調でも、問い合わせ対応や顧客との調整、社内への説明が重なると、それだけで時間を取られることがあります。
一方で、開発担当だから負荷が低いとも限りません。設計、実装、テスト、問い合わせ対応まで一人で幅広く抱えるような案件では、開発者側にも仕事が集中しやすくなります。
激務になりやすい現場では、役割分担が曖昧なまま、一人の担当者に調整・管理・実作業まで集中することがあります。
一方で、比較的働きやすい現場では、PM、PMO、PL、開発担当などの役割が整理されていて、一人に仕事が偏りすぎないように分担されています。
入社前に確認するなら、「一般的なプロジェクトは何人くらいで、PM・PL・開発担当はどのように役割分担していますか?」と聞くのがおすすめです。自分が応募しているポジションについても、「顧客対応まで担当するのか」「複数案件を兼務するのか」まで確認できると、実際の働き方をイメージしやすくなります。
6. プロジェクトの規模やフェーズでも変わる
プロジェクトの規模だけでなく、今どの工程にいるかによっても忙しさは変わります。
大規模案件は関係者が多く、会議や調整が増えやすい一方で、人数も多く、役割を細かく分担できることがあります。逆に小規模案件では、人数が少ない分、一人が設計、開発、テスト、顧客対応まで幅広く担当するケースもあります。
ただ、実際の忙しさを考えるうえでは、規模以上にプロジェクトのフェーズが影響することもあります。
要件定義や設計では顧客との調整が増え、開発中は実装やレビューが集中します。さらに、テスト後半やリリース直前になると、不具合修正や確認作業が一気に増えることがあります。
障害が発生すれば、普段は落ち着いている案件でも一時的にかなり忙しくなることがあります。
そのため、「平均残業時間が少ないから安心」とは言い切れません。通常期は落ち着いていても、特定の工程や繁忙期だけ大きく残業が増える会社もあるからです。
比較的働きやすい会社では、繁忙期があること自体をなくすというより、事前に人を増やしたり、作業量を調整したりして、負荷が一人に集中しないようにしています。
外から確認するなら、「通常期と繁忙期の残業時間はそれぞれどのくらいですか?」「特に忙しくなるのはどの工程ですか?」と聞くと分かりやすいです。平均値だけではなく、ピーク時の働き方まで聞くのがポイントです。
7. 会社や組織が働き方をどう考えているか
最後は少し数字に表れにくい部分ですが、会社や組織の方針も働き方に大きく影響します。
たとえば、「若手にも大きな仕事を任せる文化」と、「多少無理をしてでも顧客の要望に応える文化」は別物です。
前者は成長機会につながる一方で、それだけで激務になるとは限りません。ただ、大きな仕事を任せる文化と、ハードワークを許容する文化が重なると、若手のうちから負荷が高くなりやすいことがあります。
一方で、残業時間の削減、有給休暇の取得、属人化の解消、業務量の平準化などを会社として重視していれば、忙しくなったときにも組織側で調整が入りやすくなります。
ここは、制度があるかどうかだけでなく、その制度が実際に使われているかを見ることが重要です。
たとえば「有給取得を推奨しています」と書いてあっても、取得率が極端に低ければ実態は違うかもしれません。リモートワーク制度があっても、ほとんど使われていないケースもあります。
外から見るときは、平均残業時間、有給取得率、平均勤続年数、離職率、リモートワークの利用実績など、複数の数字を組み合わせて見るのがおすすめです。口コミも1件だけで判断せず、同じ内容が複数の部署・年代から繰り返し出ているかを見ると、会社全体の傾向をつかみやすくなります。
SIerの種類による傾向の違いもある
ここまで紹介した要素に加えて、SIerの種類によっても働き方にはある程度の傾向があります。
- メーカー系:メーカーを母体とするSIer
- ユーザー系:事業会社の情報システム部門などから独立したSIer
- 独立系:特定の親会社を持たず、幅広い案件を扱うSIer
- SES・受託寄り:配属先や案件によって働き方が変わりやすい形態
たとえばユーザー系SIerは、親会社やグループ企業との仕事が中心になりやすいため、案件や顧客との関係が比較的安定しやすい傾向があります。
一方で、独立系や受託中心の会社では幅広い顧客や案件を扱うため、プロジェクトによって働き方の差が大きくなることもあります。
ただし、ここはあくまで「傾向」です。
「ユーザー系だからホワイト」「独立系だから激務」と単純に判断することはできません。同じタイプのSIerでも、人員配置や案件数、顧客との関係、会社の方針によって働き方は大きく変わります。
そのため、SIerの種類は会社を判断する決定打ではなく、ここまで紹介してきた要素を確認するための1つの手がかりとして使うのがおすすめです。
タイプごとの違いについては「ユーザー系SIerとベンダー系の違い」で詳しく解説しています。
ここまで見てきたように、SIerが激務になるかどうかは、1つの条件だけでは決まりません。
だからこそ、会社を選ぶときには残業時間だけを見るのではなく、複数の情報を組み合わせて判断することが大切です。
次に、ここまでの内容を「入社前に何を確認すればいいのか」という視点でチェックリストにまとめます。
激務なSIerを避けるためのチェックリスト
ここまで説明してきた内容を、実際の会社選びで使える形に整理します。
すべてを完璧に調べるのは難しいですが、公開情報・口コミ・面接での質問を組み合わせれば、入社前でもかなりの部分まで働き方を推測できます。
- 平均残業時間はどのくらいか:平均値だけでなく、通常期と繁忙期の差も確認する
- 一人あたり何案件くらい担当するのか:慢性的な案件掛け持ちがないかを見る
- 有給取得率・平均勤続年数・離職率はどうか:働き方に無理がないかを数字から確認する
- 忙しさが「特定の案件・時期」なのか「組織として常態化している」のか:口コミや面接で切り分ける
- 仕様変更や追加要望が出たとき、納期や費用を調整できるか:増えた仕事を現場だけで吸収していないかを見る
- 顧客と直接やり取りできる案件がどの程度あるか:要件やスケジュールを調整できる立場か確認する
- PM・PL・開発担当などの役割分担は明確か:一人に仕事が集中していないかを見る
- 配属や案件変更の希望はどの程度通るか:もし合わない案件に入った場合に環境を変えられるか確認する
- 制度が「ある」だけでなく、実際に使われているか:有給やリモートワークなどは利用実績まで確認する
- 口コミで同じ内容が繰り返し出ていないか:1件の悪い口コミより、部署や年代をまたいで同じ傾向があるかを見る
特に重要なのは、「平均残業時間だけで判断しないこと」です。
平均がそれほど高くなくても、一部の部署だけ極端に忙しかったり、通常期は落ち着いていても繁忙期に残業が集中したりすることがあります。
面接では、「残業時間はどのくらいですか?」だけでなく、
- 「繁忙期はいつ頃ですか?」
- 「通常期と繁忙期では残業時間はどのくらい変わりますか?」
- 「一人で複数案件を担当することはありますか?」
- 「一般的なプロジェクトの体制を教えてください」
といった形で具体的に聞く方が、実態をつかみやすくなります。
また、口コミサイトを見るときは、単に評価点を見るのではなく、投稿された時期と、同じ内容がどれくらい繰り返されているかを見るのがおすすめです。
数年前だけ「残業が多い」という口コミが集中しているのであれば、現在は改善している可能性があります。一方で、年代や部署が違っても「人手不足」「掛け持ち」「残業が多い」という話が繰り返されているなら、組織としての傾向かもしれません。
各項目の具体的な調べ方(有価証券報告書の見方、口コミの読み方、内定後に単刀直入に聞くコツ)は「激務な会社の見分け方【調べ方の手順】」でまとめています。
このチェックを自力で全部やるのは、正直大変です。求人票や口コミだけでは分からない「組織の忙しさが案件の波なのか常態なのか」は、IT業界に詳しい転職エージェントに直接聞いてしまうのが早道です。
これからSIerを目指す人へ:業界より「会社」を見て選ぶ
これからSIerへの就職や転職を考えている人には、「SIerは激務らしいからやめておこう」と、業界そのものを選択肢から外す必要はないと伝えたいです。
ここまで見てきたように、同じSIerでも働き方にはかなり差があります。人手不足が常態化している会社もあれば、業務量を調整しながら比較的安定して働ける会社もあります。
だからこそ、見るべきなのは「SIerかどうか」だけではありません。
- どのような案件を扱っているのか
- 一人あたりの担当量はどのくらいか
- 顧客とどの程度直接やり取りできるのか
- 残業や休暇について会社がどう考えているのか
- 自分が希望するキャリアと働き方を両立できるのか
こうした条件まで見たうえで、自分に合う会社を選ぶことが重要です。
私自身も、転職するときには仕事内容だけでなく、残業時間の実数、有給休暇、所定労働時間、リモートワークなどを確認しました。何を優先するかを先に決めておくと、会社を比較するときの基準も作りやすくなります。
なお、文系・未経験からSIerを目指している人は、「文系未経験からITエンジニアになる方法【完全ガイド】」でも、仕事の選び方や必要な準備について詳しく解説しています。
今SIerがつらい人へ:今の会社がSIerのすべてではない
一方で、すでにSIerで働いていて「この働き方を続けるのはきつい」と感じている人もいると思います。
その場合にまず考えたいのが、今の忙しさが「案件の問題」なのか、それとも「会社・組織の問題」なのかです。
特定の案件が炎上している、リリース前だけ一時的に忙しいといった状況なら、案件変更や部署異動によって働き方が大きく変わる可能性があります。
一方で、慢性的な人手不足、複数案件の掛け持ち、長時間労働を前提とした仕事の進め方など、組織そのものに原因がある場合は、案件を変えても同じ状況が繰り返される可能性があります。
私自身も、最終的には会社を変えることで働き方が大きく変わりました。
だから、今の環境がつらいからといって、「SIerはどこも同じ」「この仕事を続けるなら仕方ない」と考える必要はありません。
まず社内で環境を変えられないか確認し、それでも難しいのであれば、別の会社を見る。転職するかどうかはその後に決めても遅くありません。
今まさに辞めるか悩んでいる人は、「エンジニアが激務で辞めたいと思ったら」で、社内異動と転職を含めた選択肢を詳しく整理しています。
まとめ:SIerは激務かどうかより「どこで働くか」が大切
最後に、この記事の内容をまとめます。
- 「SIer=激務」は半分本当で、半分は誤解
- 実際に、長時間労働や案件の掛け持ちが常態化しているSIerは存在する
- 一方で、残業を抑えながら比較的安定して働けるSIerもある
- 忙しさは、人手不足、納期、仕様変更、商流、役割、案件のフェーズ、組織の方針など複数の条件で変わる
- 特に「一時的に忙しい案件」と「組織として常に忙しい会社」は分けて考える必要がある
- 公開情報・口コミ・面接で確認すれば、入社前でも働き方はある程度見極められる
私自身、最初に働いた会社では、深夜までの勤務や月100時間近くの残業も経験しました。
一方で、その後は働き方も重視して会社を選び直し、以前とはかなり違う環境で働いています。
両方を経験したからこそ感じるのは、「SIerだから激務になる」のではなく、どの会社・組織・案件を選ぶかの影響がかなり大きいということです。
つまり、これからSIerを目指す人には、自分で選べる余地があります。
残業を抑えて生活を優先したいなら、そうした働き方を実現しやすい会社を探す。多少忙しくても経験や成長機会を重視したいなら、それを軸に会社を選ぶ。その中間を探すのも当然ありです。
そして、激務な会社が必ずしも「悪い会社」とも限りません。
負荷が高い代わりに、大きな仕事を任せてもらえたり、短期間で多くの経験を積めたりする環境もあります。私自身も、以前の会社で得た経験を後悔していません。
ただ、それが自分に合う働き方かどうかは別の話です。
大切なのは、知らないまま激務な環境に入るのではなく、それぞれの会社の特徴を理解したうえで、自分が何を優先したいのかを考えて選ぶことです。
「SIerだから仕方ない」と決めつける必要はありません。これから会社を選ぶ人も、今の環境に悩んでいる人も、まずは自分にどんな選択肢があるのかを知るところから始めてみてください。
よくある質問(FAQ)
Q. SIerの残業時間はどれくらいですか?
会社や案件によって大きく異なるため、「SIerなら平均○時間」と一括りにするのは難しいです。
私自身は、一番忙しかった時期には月100時間近くの残業を経験しました。一方で、比較的落ち着いて働ける会社や案件もあります。
会社を調べるときは、平均残業時間だけでなく、「通常期はどのくらいか」「繁忙期にはどこまで増えるのか」まで確認するのがおすすめです。
Q. ユーザー系SIerなら激務ではありませんか?
ユーザー系SIerは、親会社やグループ企業との仕事が中心になりやすく、比較的安定した働き方になりやすい傾向はあります。
ただし、「ユーザー系=必ずホワイト」ではありません。部署や案件によって忙しさが違うこともあります。
SIerの種類だけで判断せず、残業時間や案件数、配属の仕組みなども含めて確認するのがおすすめです。
Q. リモートワークなら激務でも楽になりますか?
リモートワークができることと、仕事が忙しいかどうかは別の話です。
私自身もリモート中心で働きながら、かなり忙しい時期を経験しました。
もちろん、通勤時間がなくなるなど働きやすくなる部分はあります。ただ、担当する仕事量が多ければ、自宅で長時間働くことにもなります。
そのため、「リモート可否」と「残業時間・業務量」は別々に確認した方がよいです。リモートワークの実態については「エンジニアのリモートワークの現実」でも詳しく書いています。
Q. 未経験だと激務な部署に配属されやすいですか?
未経験だから激務な部署に配属されやすい、とは一概には言えません。
むしろ未経験者を育てるために、教育担当がいる案件や比較的落ち着いた案件へ配属する会社もあります。
重要なのは未経験かどうかよりも、会社がどのように配属を決めているのか、配属後に案件変更を希望できるのかです。
Q. 激務な環境の方がスキルは身につきますか?
忙しい環境では多くの仕事を経験できるため、結果としてスキルが身につきやすい場合はあります。
ただし、単純に仕事量が多ければ成長できるわけではありません。
新しい仕事を任せてもらえる、設計や上流工程に挑戦できる、レビューを受けられる、周囲に学べる人がいる、といった環境なら忙しさが経験につながりやすいです。
反対に、単純作業やトラブル対応だけが積み上がっている状態では、忙しくても成長につながりにくいことがあります。
Q. 今のSIerが激務なら転職した方がいいですか?
すぐに転職と決める必要はありません。
まずは、今の忙しさが「特定の案件だけの問題」なのか、「会社や組織そのものの問題」なのかを切り分けるのがおすすめです。
特定案件だけが原因なら、案件変更や部署異動で改善する可能性があります。
一方で、人手不足や案件の掛け持ち、長時間労働が組織全体で常態化していて改善も難しいのであれば、別の会社を見る意味はあります。
辞めるかどうか悩んでいる人は、「エンジニアが激務で辞めたいと思ったら」でも判断軸を詳しく整理しています。
Q. 激務なSIerを入社前に完全に見抜くことはできますか?
完全に見抜くのは難しいと思います。実際の働き方は、入社後の配属や案件によって変わる部分もあるからです。
ただし、何も分からないわけではありません。
平均残業時間、有給取得率、平均勤続年数などの公開情報に加えて、口コミ、面接での質問、案件や商流の特徴を組み合わせれば、激務になるリスクはかなり絞り込めます。
「絶対にホワイトな会社を当てる」というより、明らかに自分と合わない会社を避けるという考え方で情報を集めるのがおすすめです。具体的な確認方法は「激務な会社の見分け方【調べ方の手順】」にまとめています。
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