この記事は、転職で「次こそ激務な会社を選びたくない」人と、これからIT・SIer(SES含む)に入る前に応募先が激務かを見抜きたい人に向けて書いています。求人票・口コミ・内定後の確認まで、外から働き方を見抜く手順が分かります。
結論:次も激務な会社を選ばないために、「残業時間」だけで判断しない
転職するなら、今の会社を辞めること以上に「次も同じ激務を選ばないこと」が重要です。
激務な会社を入社前に100%見抜くことはできません。ただ、求人票の平均残業時間だけではなく、忙しくなる理由・案件の持ち方・口コミ・配属先・内定後の確認まで組み合わせれば、リスクはかなり下げられます。
特に確認したいのは、次の5つです。
- 忙しさが「一時的な波」なのか「組織の常態」なのか
- 通常期と繁忙期で、実際にどのくらい残業するのか
- 一人で何案件を担当し、どこまでの役割を持つのか
- 口コミで同じ不満が繰り返し出ていないか
- 忙しくなったとき、会社側が人員・納期・業務量を調整するのか
私は以前、月100時間近くの残業をするような環境で働いた後、転職時には働き方もかなり重視して会社を選び直しました。
その経験からも、「残業が少ないと書いてある会社」を探すより、「なぜこの会社は残業を抑えられているのか」まで見る方が重要だと感じています。
最重要:「案件の波」か「組織の常態」かを見分ける
まず、会社を見るときに一番意識してほしいのが、その忙しさが一時的なのか、会社や組織に根付いているのかです。
| 忙しさのタイプ | 特徴 |
|---|---|
| 案件の波 | 特定案件の炎上、リリース前、繁忙期など。一時的に忙しくなる |
| 組織の常態 | 慢性的な人手不足、複数案件の掛け持ちなど。案件が変わっても忙しい |
前者なら、普段は落ち着いていて、特定の時期だけ残業が増える会社かもしれません。
一方で後者の場合、今の案件が終わっても次の案件が始まり、ずっと忙しい状態が続きます。
私が以前いた組織も後者でした。1つの案件だけが炎上しているわけではなく、複数案件を担当すること自体が通常の働き方になっていました。
こうした会社は、「炎上案件は多いですか?」と聞くだけでは見抜けません。
むしろ確認したいのは、
- 一人で何案件くらい担当するのか
- 通常期と繁忙期で残業時間はどのくらい変わるのか
- 忙しい状態が何か月くらい続くのか
といった普段の仕事の回し方です。
SIerが激務になる仕組み自体については「SIerは激務って本当?文系出身が開発5年やった本音【体験談】」で詳しく書いています。
求人票では「平均残業時間+その周辺」を見る
転職先を探すとき、最初に目に入りやすいのが平均残業時間です。
もちろん重要ですが、平均残業時間だけで「ホワイト」と判断するのは危険です。
あわせて、次の情報を確認します。
- 通常期と繁忙期の残業時間
- 所定労働時間
- 有給休暇の取得実績
- 平均勤続年数・離職に関する情報
- リモートワークなどの制度が実際に利用されているか
たとえば同じ「残業月20時間」でも、所定労働時間が7時間の会社と8時間の会社では、実際に仕事へ使う時間は変わります。
また、年間平均では残業が少なくても、特定の部署や時期だけ大きく増えている可能性もあります。
上場企業であれば、有価証券報告書や統合報告書などから、従業員数、平均勤続年数、平均年齢などを確認できる場合もあります。
ただし、どれか1つの数字だけでブラック・ホワイトを決めないことが大切です。
平均勤続年数が短くても急成長で採用人数が増えた会社かもしれませんし、リモート制度があっても実際にはほとんど使われていないこともあります。
数字は「答え」ではなく、気になる会社を深掘りするきっかけとして使うのがおすすめです。
口コミは「評価点」より、同じ話が繰り返されているかを見る
口コミサイトも、会社の働き方を知る材料になります。
ただし、「星3.2だから微妙」「残業が多いという口コミが1件あるからブラック」という読み方はおすすめしません。
見るべきなのは、投稿時期・部署・同じ内容の繰り返しです。
たとえば、複数の時期・部署の口コミで、
- 常に人手不足
- 一人で複数案件を担当する
- 残業が多い
- 休日でも連絡が来る
- 有給を取りにくい
といった内容が繰り返されているなら、特定の上司や案件ではなく、会社や組織全体の傾向である可能性が高くなります。
反対に、「案件による」「繁忙期だけ忙しい」という口コミが中心であれば、会社全体が常に激務というわけではないかもしれません。
古い口コミだけで判断せず、できるだけ最近の投稿も確認してください。
1件の口コミを信じるのではなく、複数の口コミから共通点を探す。これが一番使いやすい読み方です。
残業や働き方は、無理に面接で聞かず「内定後」に率直に確認する
働き方について調べる記事では、「面接の逆質問で残業時間を確認しましょう」とよく書かれています。
ただ、私自身が転職活動をしていて感じたのは、選考中の面接で残業や休暇について細かく聞くのは、正直かなり聞きづらいということでした。
もちろん聞いてはいけないわけではありません。ただ、「働きたくないと思われないか」「条件ばかり気にしていると思われないか」と考えてしまい、知りたいことをすべて率直に聞くのは難しいと思います。
そこで私がおすすめしたいのが、内定後に確認することです。
内定が出た後は、企業側も「採用するかどうか」ではなく、今度はお互いに本当に入社するかを確認する段階になります。
私自身も内定後には、残業時間や有給休暇、実際の働き方についてかなり率直に質問しましたが、それによって問題が起きたことはありませんでした。
むしろ、ここで曖昧なまま入社して「思っていた働き方と違った」と早期退職になる方が、応募者にとっても会社にとっても損です。
内定後は、条件交渉の場というより「ミスマッチをなくすための最終確認」と考えて、気になることを率直に聞いていいと思います。
たとえば、次のような内容を具体的に確認するのがおすすめです。
- 「配属予定の部署では、通常月の残業はどのくらいですか?」
- 「繁忙期にはどの程度まで増えることがありますか?」
- 「一人で複数案件を担当することはありますか?」
- 「有給休暇は実際にどのくらい取得されていますか?」
- 「リモートワークは制度として可能というだけでなく、実際には週何日程度使われていますか?」
- 「特に忙しくなる時期や工程はありますか?」
ポイントは、会社全体の平均ではなく、自分が配属される可能性の高い部署・職種の実態まで聞くことです。
会社平均では残業が少なくても、自分が入る部署だけ忙しいことはあります。逆に、一部の繁忙部署によって会社平均が高くなっているだけかもしれません。
内定後であれば、必要に応じて現場社員との面談をお願いするのも1つの方法です。
入社後に初めて知るのでは遅い情報ほど、内定後に遠慮せず確認する。私はこれが、働き方のミスマッチを減らすうえでかなり重要だと思っています。
SIer・SESでは「配属後の働き方」まで確認する
特にSIerやSESでは、会社全体の数字だけでは分からない部分があります。
実際の働き方が、配属される部署や案件によって大きく変わることがあるからです。
そのため、次のような点も確認しておきたいです。
- 配属先はどのように決まるのか
- 本人の希望はどの程度反映されるのか
- 合わない案件から変更できる仕組みがあるか
- 一人で複数案件を兼務することがあるか
- 顧客と直接やり取りする案件がどの程度あるか
- PM・PL・開発担当などの役割分担はどうなっているか
SESの場合は特に、「会社がホワイトそうか」だけでなく、「どんな案件へどう配属されるか」を見る必要があります。
SIerの種類や商流による違いについては「ユーザー系SIerとベンダー系の違い」でも詳しく解説しています。
こんな会社は、入社前にもう一段確認した方がいい
ここまでの内容を踏まえると、次のような特徴が複数重なる会社は、入社前に慎重に確認した方がいいと思います。
- 残業時間を聞いても具体的な数字が出てこない
- 「案件による」と言われるだけで、通常の働き方が分からない
- 複数案件の兼務が多い
- 慢性的な人手不足を示す口コミが繰り返し出ている
- 繁忙期がいつ終わるのか明確でない
- 忙しくなったときも、増員や納期調整ではなく「現場が頑張る」前提になっている
- 配属先や案件変更の仕組みがほとんどない
1つ当てはまったからブラックという話ではありません。
ただ、複数の情報源から同じ違和感が出てくるなら、その会社を選ぶ理由とリスクを一度比べた方がいいと思います。
私自身、求人票や選考の場だけでは働き方の実態がつかめず、内定後に直接聞いたり、外の情報を頼ったりして確かめました。自分一人で全部を見抜くのは大変なので、内情に詳しい第三者を頼るのも有効な手です。
自分だけで判断できないなら、他社と比較してみる
ここまで調べても、「この会社が本当に忙しいのか分からない」ということはあります。
それは当然で、自分の会社や数社の求人だけを見ていても、比較する基準が作りにくいからです。
そんなときは、候補を1社だけ見るのではなく、複数社の求人や働き方を並べて比較してみてください。
たとえば、
- 残業時間
- 所定労働時間
- リモート頻度
- 案件の持ち方
- 配属や異動の仕組み
- 仕事内容・年収
を比較すると、「今の会社が普通なのか」「この求人は本当に条件がいいのか」が見えやすくなります。
転職エージェントも、こうした比較材料を集める手段の1つです。
すべての会社の内情を把握しているわけではありませんが、求人票だけでは分からない情報を持っていたり、気になる点を企業へ確認してもらえたりすることがあります。
特に「残業を減らしたい」「リモートを増やしたい」など希望が明確なら、最初から条件を伝えて候補を絞ってもらう方法もあります。
使う場合の選び方は「IT転職エージェントの選び方」、実際の利用の流れは「IT転職エージェント利用の流れ」でまとめています。
私も転職のときは複数社を並べて比較して、残業の実数まで確かめて選び直しました。1社だけを見ていると、それが普通なのか分からないものです。
まとめ:次も激務を選ばないために、「会社の忙しさの構造」を見る
最後に、入社前に確認したいポイントをまとめます。
- 忙しさが「案件の波」か「組織の常態」かを見る
- 平均残業時間だけでなく、通常期・繁忙期・所定労働時間まで確認する
- 口コミは評価点ではなく、同じ不満が繰り返されているかを見る
- 残業や働き方の細かい実態は、内定後に率直に確認する
- SIer・SESでは配属先や案件変更の仕組みまで確認する
- 1社だけで判断せず、複数社を並べて比較する
転職するなら、今の激務から抜け出すだけでなく、次の会社で同じことを繰り返さないところまでがセットです。
求人票に書かれた「平均残業○時間」という数字だけではなく、その会社がどうやって仕事量をコントロールしているのかまで確認してみてください。
そして、内定が出た後は遠慮しすぎる必要はありません。入社後のミスマッチを避けることは、応募者だけでなく企業側にとっても利益になります。
今の会社がつらくて転職するか迷っている段階なら、「エンジニアが激務で辞めたいと思ったら」から整理するのがおすすめです。
よくある質問(FAQ)
Q. 平均残業時間が少なければホワイト企業ですか?
平均残業時間だけでは判断できません。
通常期と繁忙期の差、部署による違い、所定労働時間、一人あたりの担当案件数などもあわせて確認するのがおすすめです。
Q. 面接で残業時間を聞いても大丈夫ですか?
聞いて問題ありません。ただ、選考中は率直に聞きづらいと感じる人も多いと思います。
無理に面接ですべて確認しようとせず、内定後に配属予定部署の残業時間や繁忙期、有給取得、リモートの利用実態などを具体的に確認する方法もおすすめです。
Q. 内定後に残業や有給について細かく聞いても大丈夫ですか?
私はむしろ確認した方がいいと思います。
内定後は、企業と応募者がお互いに入社後のミスマッチをなくす段階です。入社してから「想像していた働き方と違った」となるより、事前に率直に確認する方がお互いにとってメリットがあります。
Q. SESで激務な会社を避けるには何を見ればいいですか?
会社全体の残業時間だけでなく、配属先の決め方、案件を選べるか、合わない案件から変更できるかを確認することが重要です。
SESは案件によって働き方が変わりやすいため、入社後の配属プロセスまで確認しておく方が安心です。
Q. 転職エージェントなら会社の残業実態を全部知っていますか?
すべてを把握しているわけではありません。
ただ、過去の紹介実績や企業とのやり取りから求人票にはない情報を持っていたり、気になる点を企業へ確認してもらえたりすることがあります。
自分で調べた情報とあわせて、判断材料の1つとして使うのがおすすめです。
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